記事要約
- 中途採用は拡大する一方、難易度は上昇している
- AI活用は効率化と同時に新たなリスクを生む
- 採用関係者の経験・専門性不足とチャネル多様化が複雑性を高めている
→採用のスペシャリストの育成、採用、外部リソース活用が重要
はじめに
ホワイトカラー人材の中途採用は拡大傾向にありますが、人材確保の難易度も増しています。リクルートワークス研究所の調査によれば、2022年度下半期に75%超の企業が中途採用を実施する一方、「必要な人数を確保できなかった」企業も52.7%に上りました*1。こうした背景も踏まえ、弊社では2026年1月現在の中途採用領域の主要なテーマは「AI活用の利点と弊害」「採用スペシャリストの不足」「多種多様化する人材獲得チャネル」の三つだと捉えています。
AI活用の現状とその利点・弊害
AI活用のメリット
履歴書・エントリーシートのスクリーニング自動化、面接日程の自動調整、適性検査データの分析など、AI採用ツールにより採用担当者の手作業を効率化できます。また、客観的な評価基準で候補者を判断することで、公平性を高め自社に適した人材を見抜く助けにもなります。実際、AI面接や自動スクリーニングを採用する企業が増え、従来の採用活動の課題解決策として注目されています。
AI活用のデメリット
一方で慎重に検討すべき課題もあります。学習データの偏りによってAIの評価にバイアスが生じ、結果的に多様性に欠けた組織になる恐れがあります。また、AIの判断ロジックがブラックボックス化しやすく、不採用基準が不透明だと応募者が結果に納得できない問題も指摘されています。このほか、応募者がAI選考に不安を感じるケース(特に高年齢層)もあり、AIに任せすぎず人間が最終判断する体制づくりや、応募者への丁寧な説明が重要とされています。さらに、自社に合わせAIをカスタマイズする導入コストの高さも課題です
採用スペシャリストの不足
日本企業では人事ローテーションの一環で採用業務を担当する例が多く、採用のプロフェッショナル人材が社内に不足している傾向があります。多くの企業が「人事部の人手不足」を課題に挙げますが、実際には採用市場や手法に関する専門知識・経験の不足こそ根本的な問題だと指摘されています*2。真の「採用のプロ」は、単なる応募者対応だけでなく、データ分析に基づいて中長期の採用計画を立案し、何年後にどれだけ人材が必要か、育成か新卒採用か中途か、といった戦略を描ける人材です。しかし数年で担当が異動してしまう現状では、こうした高度な専門性が社内に蓄積されません。その結果、採用要件の定義が曖昧で「どんな人を採用すれば良いか分からない」という企業も多く、採用計画人数ですら昨年比で漠然と決めているケースがあります。このように専門人材・知見の不足が、採用プロセス全体の精度を下げているのが現状です。
多種多様化する人材獲得チャネル
日本のホワイトカラー中途採用では、従来の「求人広告/人材紹介(エージェント)」だけでは必要な人材に届きにくくなり、人材獲得チャネルが急速に多様化しています。背景には、人材不足の深刻化に加え、候補者が情報収集に使う手段が増えたこと(SNS・口コミ・動画・コミュニティ等)があり、企業は“応募を待つ採用”だけでなく、**企業側から口説きにいく採用(ダイレクトソーシング、リファラル等)**へと比重を移し始めています。
現在の主要チャネルは、
①求人広告・求人検索
②人材紹介
③ダイレクトリクルーティング(スカウト)
④自社採用サイト/採用コンテンツ
⑤SNS・口コミ
⑥リファラル(社員紹介)
⑦アルムナイ(出戻り)
⑧イベント/コミュニティ
⑨タレントプール(候補者CRM)
⑩内部流動(社内公募)
などに広がっています。一方で、チャネルが増えるほど運用が複雑化し、候補者体験の分断(媒体ごとに言っていることが違う、返信が遅い等)や、SNS・口コミによる評判リスク、AI活用によるテンプレ化・ブラックボックス化といった新たな課題も生まれます。だからこそ重要なのは、闇雲に増やすことではなく、ターゲットごとにチャネルを選定し、各チャネルの役割(量/質/潜在層/中長期)を分け、ハックしていき、状況の変化の応じて利用するチャネルを臨機応変に変更していくことです。
おわりに
次回以降の記事では、各テーマについて掘り下げていきますので、ご一読いただけましたら幸いです。最後までお読みくださりましてありがとうございました!
参考文献
*1 「キャリア採用(中途採用)者の活躍を阻むバイアスへの対策」アクセス日:2026/01/02
*2 「『採用がうまくいかない』本当の理由とは?大手企業が直面する3つの構造課題と打ち手」アクセス日:2026/01/02
